<解説>
「川上四郎文庫」は、長岡市出身の童画家・川上四郎の旧蔵書である。約1800点の資料書誌情報を公開する。
川上四郎は、明治22(1889)年11月16日、新潟県古志郡上組村摂田屋(長岡市摂田屋)に生まれた。
旧制長岡中学校から明治41年東京美術学校西洋画科に入学。
静岡県内で中学校教師をつとめた後、大正5(1916)年コドモ社に入社。
『童話』を創刊し、以後各種の雑誌に表紙画・挿画を描いた。
昭和17(1942)年、第2回野間挿画奨励賞受賞。
昭和45年、久留島武彦文化賞受賞。
昭和21年からは新潟県南魚沼郡湯沢町に住み、豊かな自然のなかで作品を構想した。
絵本『良寛さ』(理論社)ほか単行本多数。
昭和58年12月30日に94歳で亡くなるまで「心のふるさと」を描く童画家として活躍した。
当文庫は、『講談社の1年生文庫』等の絵本や、『コドモ』(コドモ社)・『コドモノクニ』(東京社)・『こどもクラブ』(講談社)・『よいこのくに』(学研)・『ひかりのくに』(昭和出版)の絵雑誌等で構成される。
児童文学と郷土資料の両面から注目され、昭和62年3月の開館を《川上四郎回顧展》で祝った当館にとっても貴重な資料群である。
<参考文献>
•川上四郎『川上四郎童画大集』(講談社、1977年)
•図録『日本童画の父 川上四郎回顧展』(長岡市教育委員会、1987年)
•川上利生子「川上四郎 越後の自然と子どもを愛した童画家」(『ふるさと長岡の人びと』、長岡市、1998年)
<略歴>(『ふるさと長岡の人びと』より)
明治22(1889)年 | 11月16日、新潟県古志郡上組村摂田屋(長岡市摂田屋)川上半四郎の四男として出生 |
明治34(1901)年 | 旧制長岡中学校入学 |
明治41(1908)年 | 東京美術学校西洋画科へ入学 |
大正2 (1913)年 | 静岡県の榛原中学校教師実科女学校教諭 |
大正5 (1916)年 | コドモ社入社 |
大正6 (1917)年 | 独協中学校教員 |
大正9 (1920)年 | コドモ社から「童話」創刊。以後表紙画・挿画を描く |
大正10(1921)年 | 浜田広介「椋鳥の夢」装丁。以後装丁を多く手がける |
大正11(1922)年 | 絵雑誌「コドモノクニ」創刊 |
大正15(1926)年 | 「少年倶楽部」「少女倶楽部」にたびたび執筆 |
昭和2 (1927)年 | 第1次日本童画家協会結成に参加 |
昭和17(1942)年 | 第2回野間挿画奨励賞受賞 |
昭和45(1970)年 | 久留島武彦文化賞受賞 |
昭和58(1983)年 | 12月30日、死去 |